藤 沢 |
経営者をご覧になっていて、成功する人とそうでない人は分かりますか? |
馬 場 |
これから成功する人と成功しない人との差は、能力の差というよりも感覚の差ではないでしょうか。右脳感覚が優れている人が成功しそうな気がします。というのも、これまでの教育というか世の中は、感覚を奪ってきたように思います。幼稚園とか保育園とかの箱に入れて、小学校とか中学校とか上の学校に行くにつれ、もっと管理的になって外の空気に当たらない状況が作られている。家もマンションなどとなると、外の空気が冷たいのか暖かいのかということや、他の人が何をしているかも分からない状況に置かれています。ところが商売は、いろんな意味で感じないといけません。自分で外に出て行って、外の暑さ寒さを感じないとうまくいかない。どっぷり暖かい空気につかって同じことを繰り返していることは楽でしょう。楽ではないが、これから成功する人は、あえてそうした道を選ぶ人ではないでしょうか。さらに言えば、多くの人が環境の快適さを追い求めていく人がうまくいくのかもしれない。 |
藤 沢 |
一生快適なところに居ないで、飛び出せということでしょうか。 |
馬 場 |
波がくると、出ざるを得ない。波が来たのはここ5年ぐらいでしょう。大企業の中に居て、面白おかしく過ごしてきた人もいるでしょう。それはそれでいいんでしょうけれども、積極的に飛び出て来る人がいいですね。 |
藤 沢 |
その他に、経営者に望まれる資質はありますか。 |
馬 場 |
仕事の目的は、公開してお金を儲けることかといえば必ずしもそうではない。ビジネスモデルを考えるとか、資本政策を考えるとかいろいろな仕事がありますが、一番大事なものはそこに参加している人々のモチベーションをどう維持するか、満足感をどう満たすかにあると思います。それを仕組みに変えて、経営者が自分の考え方、生き方を従業員にどう伝えていくのかというコミュニケーションの継続性とエネルギーが必要になります。 |
藤 沢 |
やはり、経営者の資質が会社の経営判断に一番大切なもののようですね。きっと市場環境よりもずっと重要ですね。 |
馬 場 |
やっぱり経営者にどこか才能があること。それから人に会うことや自分が一人になることを恐れないで、群れなくても平気で、一人が大好き。そういう人は決断が出来る。これが経営者の資質として非常に大事じゃないかと思う。そうしていると軸がブレない。自分で決断するわけだからどこかで自分を見つめている。冷静な判断を下しているわけで、自分に対しても厳しい目を保っている。そういう人は心も迷わず、謙虚なんですね。
愛想が良くて、営業がうまくて、誰に対しても受け入れられる人ってなかなか成功しないと思う。営業部長として、会社の中ではいいでしょうが、上に立って会社を見ようという場合は違いますからね。そこが成功する人としない人との差じゃないでしょうか。 |